先週末、友人の伝手でスタジオにお邪魔させていただくということになり、そこで試したことを記事にしたくなったので、美ヶ原の記事よりも先に書いてみました。 今回のテーマは日中の長時間露光ポートレートです。
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人間のモデルさんでも長時間露光のポートレートをたまに見かけることがありますが、人間である以上どうしても微妙な動きは避けることはできず、10秒を超えるようなものをあまり聞きません。 人間のモデルさんで環境光があるところだと、表情も全身の動きも完全に固められるのは数秒(10秒くらい?)と伺いました。 星景などでは後幕シンクロで止めれば良いため、数十秒と言ったものは存在します。
ということで、ドールはよほどの爆風でない限り完全にポーズを固めることが可能ですし、2分くらい露光した写真を撮ってみて肉体に縛られた旧人類との違いを見せつけてやるか、みたいな邪な気持ちでやってみました。
んでまあ、長時間露光なので動くものを入れたいわけです。街中であれば人混みや車のヘッドライトなんかが定番で、特に人混みはポートレートでは多いですよね(?)。でもここはスタジオなので人混みは作れないし、撮影時間の都合で車のヘッドライトは流せません。 次によくあるのは、ネイチャーやランドスケープで見られる雲や水の動き(または長時間露光で動きを止める)を見せるものです。
↓みたいなやつです。
さて、今回はスタジオの屋上を使わせていただけるということで、じゃあ雲じゃん!!!みたいな気持ちになったので、雲待ちをしながらセットアップ開始です。 雲の場合、常識的なシャッタースピード(高々1秒程度)で撮る場合には、見たままの雲が写真として残るのですが、長時間露光では”雲の厚さ”と”雲が動く方向”の2つがけっこう大事だと思っています。
1つめの厚さですが、雲が厚すぎると、青空を隠したまま雲が動いて、出来上がった写真では空が真っ白になってしまいます。経験上青空が透けて見えるでまばらに見える薄雲だとかなり良い感じになります。↑の写真はそういうコンディションの日でした。
2つ目の動く方向ですが、これは構図作りに影響します。奥行きがある背景であれば、雲は画面奥または手前に流れて欲しいですし、そうでもなければ真横だったりするのが良いように思います。視線誘導の理論とかを眺めるのが良いです。
当日は北側に良い雲が出ていたので、ドールをセットアップしつつ露出と流れ具合のチェックをします。 その日の風の強さにもよりますが、雲を流すときによく使うのは、2〜3分程度の露光時間なので、それに合わせてF値、ISO、NDフィルタを組み合わせて設定を組んでいきます。
まずは別のモデルさんに立ってもらって状況確認をしてみました。(F11/150秒)
・・・養命酒の長時間露光ポートレートを撮影したのは世界初だと思う。
雲の流れはいい感じということがわかったので、セッティングを進めていきます。ちなみに同じ空を1/100のシャッタースピードで撮ると↓のようになります。
ようやく本題です。ドールを撮ります。まあここまで来るとポーズを固めてシャッターを切るだけなんですが・・・。 1つ問題があり、午後4時に北向きを撮っているので被写体からすると激烈なサイド光になります。(かわいそうなので日傘をあげた)このまま撮影すると後々大変なことになりそうなのですが、色々やってなんとかしました。色々が何かは今回は秘伝のタレみたいな扱いにしておきます。 養命酒と同じく、F11/150秒で撮った作品が↓になります。
そんなわけで、割といい感じに撮れました。時間や天気、周辺の建物の都合で夕焼けを流すということはできなかったのですが、それはいずれ適当な海岸で試そうかなあと思います。
最後に、無加工な画像同士の比較になりますが、長時間露光しなかった場合と比較してみます。元の雲はうろこ雲のような感じで存在感が強かったものが、長時間露光で印象が弱まっているのと、雲が横方向に流れているように見えることで写真を見る方向が明確になっているような気がします。気がしろ。
今回の機材
- カメラ
- α7RIII
- SEL2470GM
- フィルター
- KANI ND1000 フィルター
- Nisi ND8 フィルター
- Nisi Landscape CPL
- Nisi V5 ホルダー
- その他
- レフ板
- レリーズ
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